着物リメイクとは?
【1】なぜ、着物リメイクなの?
着物は、様々な柄や織があり、種類も豊富で、日本の知恵や工夫がギュッとつまっています。素敵だとわかっていても、日常でなかなか着る機会がなく、箪笥の肥やしになっている方が多いので、日々の暮らしのにさらりとまとえるようにできないものか?と考えるようになりました。もともと着物は、祖母や母、自分で作ったり、直したりしていたもので、暮らしの中に身近な存在だったので、それを取り戻したいな、という思いからはじめました。
【2】「型紙いらずの着物リメイク」とは?
着物が型紙を使わずに作っていたように、着物リメイクも同様に型紙を使わず、 布をまっすぐ切っていくので、型紙を作る時間もはぶけ、とてもかんたんです。 おまけに縫うのもまっすぐなので、手縫いでもミシンでもどちらでも作ることができます。 縫い始める前に、着物を解いて洗うことも必要ですが、着物がどんな風にできていて、 どんな思いで作ったか、などに思いを馳せるのも楽しいひとときです。
【3】作品づくり(洋服づくり・洋服のデザイン)で、大切にしていることは?
着物は、母や祖母から受け継いだものや、お嫁入時に作ってもらったものなど、思い出がたくさんつまったもの。 染や織など、なかにはもう作られていない伝統的な技法もあり、貴重なものも多いので、 ハサミを入れる限りは、できるだけ余すところなく生地を使い切りたいという思いがあります。 着物も傷んだら、羽織にしたり、布団にしたりと、形を変えて大切に使われてきた歴史もあります。 着物リメイクも同様に、その同じ線上にありたいという思いから、切り刻まず、曲線に切らずに、 長方形の布を折ったりたたんだりして、服や小物を作れるようデザインしています。
【4】お裁縫をほとんどしたことがなくてもできる?
型紙を使用しないので、まっすぐ切ってまっすぐ縫うだけ。 裁縫の経験や技術がなくてもはじめられます。 洋服の生地よりも、着物の生地幅は狭いので、扱いやすく、少しのスペースでできるのも、 手軽で良いところだとおもいます。
着物を受け継ぐ。
一、 これまでのことを考えた、これからの服。
平安時代から、一二〇〇年もの時を越えて、受け継がれてきた日本の「きもの」。
そこには、目を見張る色彩や文様、質の高い素材感、生地を大切にする様式など、
伝統に裏打ちされた確かな価値が宿っています。
しかし、一世紀程前からの急激なライフスタイルの変化などにより、日本の「きもの」は、
日常、言わば(ケ)の衣服としての役割を担うことが難しくなり、多くの人々は、
そこに秘められた価値を、和ダンスや押入れに仕舞いこんだまま、現在に至っています。
そこで私達Wrap Around R.(ラップ アラウンド ローブ)は、
「きもの」の持っている価値や様式を尊重しつつ、
現代のライフスタイルに合ったフォルムに再生する服づくりを行っています。
Wrap Around R.の作品を通して、これからの日本の「きもの」の、
懐かしく新しい潮流を、少しでも多くの人々に体感して頂ければと考えています。
二、 生地を大切に使い切る合理性。
日本の「きもの」と言えば、その色彩美や文様に注目することが多いですが、
Wrap Around R.(ラップ アラウンド ローブ)は、生地を大切に使い切る合理性に着目しています。
「きもの」をほどくと下図のように、概ね1尺1寸(33.3cm)を基本寸法幅とした長方形の生地になります。
かつて生地は大変貴重なものでしたので、ハサミをほとんど入れていないこの形状により、洗濯時などのほどきと縫製を簡略化出来ると共に、部分的に傷んでしまった生地は、その部分のみ付け替え、衣服として使えなくなった生地は、布団や雑巾などへと、可能な限り再利用しやすく出来ています。
三、 「きもの」の合理性を意識した服づくり。
Wrap Around R.(ラップ アラウンド ローブ)による、日本の「きもの」の合理性を継承した服づくりの特徴は、大きく3つ挙げられます。
[1]
和ダンスや押入れに仕舞われた「きもの」を資産として捉え直し、それらを活用するため、丁寧に洗濯し、ほどきます。
[2]
シミやホツレ、虫食いのある部分を避けて裁断します。その際ロスが発生しにくく、再び1枚の布に戻しやすい長方形の平面裁断を意識したパターン(上図参照)を用いています。これにより、代々受け継いできた大切な「きもの」を、再び次世代の衣服の素材として活用できるよう工夫しています。
[3]
平面裁断でありながら、立体的で豊かなフォルムを生み出すため、折り紙のように布を折りたたむデザインや、重ね着しやすい身につけ方が可能なフォルムを意識しています。